八日目の蝉 角田光代 本当の親子とは何かを考えさせられました。
八日目の蝉は映画化をきっかけに読んでみることにしました。子供が産まれてからは中々映画を見る機会もなく、せめて通勤の合間に読めたらと思い、電子書籍で読み始めましたが、自分が親になる前でしたら、きっとここまで感動をすることもなく、心に残る作品の一つにはならなかったでしょう。
一点問題がるとすれば、通勤時に読むと人前で号泣してしまい恥ずかしい思いをするので、出来ればこっそりと読んで頂きたい内容です。
内容に関しては正直犯人よりも実の親に憤りを感じてしまうシーンも有りましたが、産まれたばかりの赤ちゃんが数年後聞いたこともない方言で話していればどう向き合えばいいのか混乱する気持ちは痛いほど理解できる気がします。
そんな親子の溝を作ったのは犯人である父親の元愛人ではありますが、赤ちゃんを連れての逃避行中に見せる犯人の顔は母親そのもので、擬似的な親子関係のはずが、犯人とともに過ごした少女のほうがとても活き活きしていてることが胸を締め付けます。
最後は幼少期の記憶が曖昧な少女が、育ての親と同じような不倫に振り回された挙句に、不倫相手の子供をお腹に宿してしながらも母親になる決意が揺らぎながらも、育った瀬戸内海の醤油の香る島に向かうシーンでは、少女があの頃話していた方言で思い出を語りながら、今ではただの誘拐犯としか思っていない育ての母親を思い出しているであろうと思うとやるせない気持ちで一杯になります。
ありがとう寄稿。
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