ブレイブストーリー 宮部みゆき ファンタジーの暗い部分も身に染みる作品
ごく普通の少年が今まで考えもしなかった状況に追い込まれる。けれどその状況は世間からすればよくあることで、家族はそれを受け入れよう。しかし、そこからさらに状況は悪化し、結局家族は離れ離れになってしまう。その少年は家族を取り戻すため、ファンタジーの世界に旅立つ。2003年に宮部みゆきさんが発表したブレイブストーリー。この作品は名前だけ見るとよくあるファンタジー作品のようですが、小説の途中では爽快さだけではなく、後味の悪さも味わいます。
主人公の亘は願いをかなえるため、旅人としてファンタジーの世界、幻界を旅します。この旅人は通常は一人ですが、亘が幻界に入った時にはすでに学校の転校生、美鶴がもう一人の旅人として幻界に入っています。この旅人には幻界の女神が願いをかなえてくれるとされています。しかし、かなえる願いは一つだけ。つまり、亘と美鶴は自分の願いをかなえるために争わなくてはならなくなります。亘は先に入った美鶴に圧倒的な差をつけられながらも、様々な人々との交流を経てたくましくなっていきます。ですが、やがて亘は幻界の問題に気づき、選択を強いられていきます。
通常のファンタジーの小説では描かれにくい、主人公と敵対する人々の曲げられない、悪ではない願い。それを亘はどうやって越えていくのか。読んでいけばいくほど引き込まれる作品です。ぜひ皆さん読んでみてください。
ありがとう寄稿。
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